福岡・柳川名物として知られる「うなぎのせいろ蒸し」。うな重と同じうなぎ料理でも、タレをまぶしたご飯とうなぎをせいろで蒸すため、味のなじみ方や食感に違いがあります。この記事では、せいろ蒸しの特徴やうな重との違い、柳川で受け継がれてきた歴史、自宅で食べるときの温め方まで紹介します。
せいろで蒸しゃあ、うなぎとタレ飯がひとつにまとまる。うな重とはまた違う粋な旨さってやつだねぇ。
うなぎのせいろ蒸しとは?柳川名物として親しまれる理由
うなぎのせいろ蒸しは、福岡県柳川市を代表する郷土料理です。
一般的なうな重やうな丼と大きく違うのは、焼き上げたうなぎをご飯にのせるだけではなく、タレを絡めたご飯とうなぎをせいろで蒸し上げるところにあります。
せいろで蒸すことで、うなぎはふっくらと温まり、タレの旨味がご飯になじみます。蓋を開けた瞬間に立ち上る湯気や、金糸卵の彩りも、柳川のせいろ蒸しらしさを感じさせてくれます。
タレをまぶしたご飯とうなぎをせいろで蒸す
せいろ蒸しの特徴は、タレを絡めたご飯の上に蒲焼きにしたうなぎをのせ、せいろで蒸し上げることです。
白ご飯に蒲焼きをのせるうな重とは違い、ご飯そのものにタレの味がなじんでいるため、ひと口目からうなぎとご飯の一体感を楽しめます。
蒸すことでご飯はしっとりとし、うなぎの旨味もご飯へ移ります。濃厚でありながら、全体がまとまりやすいのがせいろ蒸しならではの魅力です。
金糸卵が彩りと味のアクセントになる
柳川のせいろ蒸しでは、うなぎの上に金糸卵を添えることが多くあります。
濃い色合いのタレご飯とうなぎに、黄色の金糸卵が加わることで、見た目にも華やかな印象になります。
味の面でも、金糸卵のやさしい甘みがタレの濃厚さを少しやわらげてくれます。うなぎの旨味、タレのコク、ご飯のしっとり感に、卵のまろやかさが重なることで、最後まで食べ進めやすくなります。
最後まで熱々で食べやすい
せいろ蒸しは、せいろのまま提供されることが多いため、最後まで温かい状態で食べやすいのも特徴です。
うなぎ料理は冷めると脂やタレの印象が変わりやすいですが、せいろ蒸しは蒸気を含んだ熱が全体にまわるため、ご飯もうなぎも温かさを保ちやすくなります。
蓋を開けたときの湯気、タレの香り、ふっくらとしたうなぎ。こうした食べ始めの印象が、せいろ蒸しの楽しさにつながっています。
うなぎのせいろ蒸しとうな重の違い
うなぎのせいろ蒸しとうな重は、どちらもうなぎの蒲焼きを使った料理です。
ただし、調理の仕上げ方やご飯の状態、食感にははっきりとした違いがあります。うな重は、焼き上げたうなぎの香ばしさや白ご飯との対比を楽しむ料理です。一方、せいろ蒸しは、うなぎ・タレ・ご飯を蒸すことで一体感を出す料理といえます。
どちらが上というより、楽しみ方が違う料理として考えると分かりやすいでしょう。
調理法の違い|蒸して仕上げるか、焼きの香ばしさを楽しむか
うな重は、白ご飯の上に蒲焼きにしたうなぎをのせ、タレをかけて仕上げるのが一般的です。
焼き上げたうなぎの香ばしさや、表面のタレの風味をそのまま楽しめるのが魅力です。
一方、せいろ蒸しは、タレを絡めたご飯とうなぎをせいろで蒸して仕上げます。焼いたうなぎをさらに蒸すことで、身がふっくらと温まり、タレの味も全体になじみます。
香ばしさを前面に出すうな重に対し、せいろ蒸しは蒸し上げることで生まれるやわらかさや一体感が特徴です。
ご飯の違い|白ご飯か、タレがなじんだご飯か
うな重のご飯は、基本的には白ご飯です。
うなぎのタレが上からかかることで、部分的にタレが染みたご飯と、白ご飯の風味を一緒に楽しめます。蒲焼きの味をしっかり受け止める、素直な組み合わせといえます。
せいろ蒸しの場合は、あらかじめタレを絡めたご飯を使います。そのため、ご飯全体に味が入り、ひと口ごとにタレのコクを感じやすくなります。
白ご飯とうなぎの対比を楽しむのがうな重なら、タレご飯とうなぎのまとまりを楽しむのがせいろ蒸しです。
食感の違い|ふっくら感か、香ばしさか
うな重は、焼き上げたうなぎの香ばしさや、皮目の風味を楽しみやすい料理です。
焼きの技術がそのまま味に出やすく、蒲焼きらしい香りをしっかり感じられます。
せいろ蒸しは、蒸すことでうなぎがふっくらと温まり、ご飯もしっとりとした食感になります。タレを含んだご飯はややもっちりと感じられ、うなぎと一緒に食べたときのまとまりがあります。
香ばしさを重視するならうな重、ふっくら感や味のなじみを楽しみたいならせいろ蒸しが向いています。
柳川名物として受け継がれてきた歴史
うなぎのせいろ蒸しは、柳川の土地柄と深く結びついた料理です。
柳川は水郷として知られ、古くから掘割が張り巡らされた町として発展してきました。水辺の暮らしとともに川魚を食べる文化が根づき、その中でうなぎ料理も親しまれてきたとされています。
せいろ蒸しは、江戸時代から続く柳川の郷土料理として、現在も多くの店で提供されています。
江戸時代に柳川で生まれた伝統料理
うなぎのせいろ蒸しは、1681年に柳川で誕生した料理とされています。
焼いたうなぎをそのまま出すのではなく、タレを絡めたご飯と一緒にせいろで蒸すという調理法は、柳川ならではの食文化として受け継がれてきました。
現在では柳川を代表する名物料理として知られ、観光で訪れた人が楽しみにする味のひとつにもなっています。
水郷の町で親しまれてきたうなぎ料理
柳川は、町の中を掘割が流れる水郷として知られています。
古くから水辺の食文化が根づいた地域であり、川魚料理も身近な存在でした。うなぎのせいろ蒸しも、そうした土地の背景の中で親しまれてきた料理のひとつです。
100年フードにも認定された郷土料理
うなぎのせいろ蒸しは、文化庁の「100年フード」にも認定されています。
100年フードは、地域で世代を超えて受け継がれてきた食文化を認定する取り組みです。柳川のせいろ蒸しも、江戸時代から続く郷土料理として評価されています。
観光名物としてだけでなく、地域の食文化として受け継がれてきた点に、せいろ蒸しの価値があります。
自宅で簡単に楽しむうなぎのせいろ蒸し
本場・柳川のせいろ蒸しは、タレを絡めたご飯とうなぎをせいろで蒸し上げる伝統料理です。専門店ならではの味をそのまま再現するのは簡単ではありませんが、家庭でも「せいろ蒸し」を楽しむことはできます。
用意するのは、市販のうなぎの蒲焼き、ご飯、蒲焼きのタレ、金糸卵、山椒です。ご飯にタレを少量混ぜ、温めたうなぎをのせて、蒸し器やフライパンで軽く蒸すだけでも、うな重とは違うしっとりした味わいに近づきます。
スーパーのうなぎでも試しやすい
スーパーで購入したうなぎの蒲焼きを使う場合は、まず表面のタレを軽く拭き取り、酒を少量ふって温めると、身がふっくらしやすくなります。
ご飯には蒲焼きのタレを混ぜ込み、耐熱皿に入れて、その上にうなぎと金糸卵をのせます。蒸し器があれば数分蒸し、ない場合はフライパンに少量の湯を張り、器ごと入れて蓋をして温める方法でも楽しめます。
完全な柳川のせいろ蒸しとは異なりますが、タレご飯とうなぎを一緒に温めることで、せいろ蒸しらしい一体感が出やすくなります。
専門店のうなぎを使うと満足感が増す
手軽に楽しむならスーパーのうなぎでも十分ですが、よりふっくらした身や香ばしさを楽しみたい場合は、専門店のうなぎを取り寄せて使うのもひとつの方法です。
うなぎそのものの味がしっかりしていると、タレご飯と合わせたときの満足感も変わります。自宅で少し特別な食事にしたい日や、家族でうなぎを楽しみたいときには、取り寄せの蒲焼きを使ってせいろ蒸し風に仕上げるのもおすすめです。
山椒を少量添えれば、濃厚なタレの後味がすっきりします。金糸卵を加えると見た目も華やかになり、家庭でも柳川名物の雰囲気を楽しみやすくなります。
本場の味を知ったら、今度は家でもひと工夫。うなぎは楽しみ方まで覚えてこそ、もっと旨くなるんだぜ
うなぎのせいろ蒸しは柳川で育まれた伝統の味
うなぎのせいろ蒸しは、タレを絡めたご飯の上に蒲焼きのうなぎと金糸卵をのせ、せいろで蒸し上げる柳川名物の郷土料理です。
うな重との違いは、調理法だけではありません。白ご飯に蒲焼きをのせるうな重に対し、せいろ蒸しはタレご飯とうなぎを蒸すことで、全体に味がなじみ、ふっくらとした一体感を楽しめます。
焼きの香ばしさをしっかり味わうならうな重、タレご飯とうなぎのまとまりを楽しみたいならせいろ蒸し。どちらにも違った魅力があります。
柳川を訪れる機会があれば、せいろの蓋を開けた瞬間の湯気や香りも含めて、本場ならではの味わいを楽しんでみてはいかがでしょうか。
山美世のうなぎ
届くのは、老舗の仕事。



















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