うなぎの世界には、「串打ち三年、裂き八年、焼き一生」という言葉があります。うなぎ職人の修行の厳しさを表す格言として知られていますが、本当に年数だけを意味するものなのでしょうか。この記事では、串打ち・裂き・焼きに込められた技術の難しさや、今もこの言葉が語り継がれる理由をわかりやすく解説します。
串の一本にも職人の腕が出るってもんだ。うなぎのうまさは、見えねぇ仕事で決まるんでい!
「串打ち三年、裂き八年、焼き一生」とは?
うなぎの調理技術を表す言葉に、「串打ち三年、裂き八年、焼き一生」があります。
読み方は、「くしうちさんねん、さきはちねん、やきいっしょう」です。
文字通りに受け取ると、串打ちを覚えるまでに三年、うなぎを裂けるようになるまでに八年、焼きの技術は一生をかけて磨き続けるもの、という意味になります。
ただし、この言葉が伝えているのは、単に長い年月をかければよいという話ではありません。うなぎは一匹ごとに大きさや身の厚み、脂の乗り方、皮の状態が異なります。その違いを見極めながら、串を打ち、包丁を入れ、火を通していく必要があります。
「串打ち三年、裂き八年、焼き一生」という格言は、うなぎをおいしく仕上げるために、仕込みから焼き上げまでの一つひとつに確かな技術が必要であることを表しています。
うなぎの串打ちはなぜ難しい?
串打ちは、うなぎの仕上がりを大きく左右する大切な工程です。見た目には単純そうに見えても、実際にはうなぎの状態を見極める繊細な技術が求められます。
ただ串を刺すだけではない
うなぎの串打ちに「三年」といわれるのは、ただ串を刺すだけの作業ではないからです。
うなぎは身が繊細で、皮の厚みや脂の乗り方も一匹ごとに違います。串を打つ位置がずれると、焼いている途中で身が崩れたり、火の通りにムラが出たりすることがあります。
きれいに焼き上げるためには、うなぎの状態を見ながら、身を傷めない位置にすばやく串を通さなければなりません。皮と身の間を見極め、波を打つように串を入れていく技術は、見た目以上に繊細です。
焼き上がりを左右する大切な仕込み
串打ちは、焼き上がりの形や火の入り方を左右する大切な仕込みです。
串の通し方が安定していないと、焼いている途中で身が反ったり、崩れたりすることがあります。見た目の美しさだけでなく、食べたときの食感にも関わるため、職人の手の感覚が問われる工程です。
一見すると地味な作業ですが、串打ちが整っているからこそ、うなぎは最後まで美しく焼き上がります。
「裂き八年」に込められた職人技
「裂き八年」といわれるほど、うなぎを裂く作業にも高い技術が求められます。包丁さばきだけでなく、うなぎの状態を見極める経験も必要になる工程です。
目打ちと包丁さばきが求められる
うなぎはぬめりがあり、体も細長く滑りやすい魚です。目打ちでうなぎを固定し、包丁を背骨に沿わせながら、身を傷つけないように開いていきます。
包丁を入れる角度や力加減が少しでもずれると、身が割れたり、厚みにばらつきが出たりします。見た目の美しさだけでなく、焼いたときの食感にも影響するため、裂きの技術はとても重要です。
どのうなぎでも安定して仕上げる難しさ
うなぎの大きさや身の締まり具合は、一匹ごとに異なります。身が厚いもの、細いもの、脂の乗ったものなど、それぞれに包丁の入れ方を調整しなければなりません。
一匹だけをきれいに裂ければよいのではなく、どのうなぎでも安定して仕上げることが大切です。そのためには、包丁さばきに加えて、魚の状態を読む経験が欠かせません。
「裂き八年」という言葉には、正確さと安定感を身につける難しさが込められています。
「焼き一生」といわれる理由
うなぎの調理の中でも、焼きは職人の個性が最も表れやすい工程です。焼き加減ひとつで、香ばしさや食感、脂の残り方まで変わります。
焼き加減で味わいが大きく変わる
同じように見えるうなぎでも、身の厚みや脂の乗り方は一匹ずつ違います。そのため、すべてを同じ火加減で焼けばよいわけではありません。
火を入れすぎれば身が硬くなり、足りなければ香ばしさや仕上がりに物足りなさが出ます。うなぎの状態を見ながら、返すタイミングや焼き時間を調整していくことが大切です。
焼きの技術は、香ばしさ、身のふっくら感、皮目の食感を左右します。だからこそ、うなぎ職人にとって焼きは特に奥深い工程とされています。
火の入り方を見極める経験が必要
焼きは、一度覚えれば終わりという技術ではありません。
その日の気温や湿度、焼き台の状態によっても、火の入り方は変わります。さらに、うなぎの大きさや脂の乗り方によっても、焼き上がりまでの時間は微妙に異なります。
職人は、うなぎの表面の色づきや脂の落ち方、香りの立ち方を見ながら、ちょうどよい状態を探っていきます。
「焼き一生」という言葉には、うなぎと向き合い続ける職人の姿勢が込められているのです。
現代でもこの格言が語り継がれる理由
現代では、調理設備や流通の進化によって、うなぎの提供方法も多様になっています。分業化された現場では、昔ながらの長い修行とは違う形で技術を学ぶこともあります。
それでも、「串打ち三年、裂き八年、焼き一生」という言葉は今も語り継がれています。
昔ながらの修行年数だけを意味しない
この格言は、単なる修行年数を表しているだけではありません。うなぎという食材に向き合う姿勢を示す言葉でもあります。
うなぎは、個体差が大きく、扱いの難しい魚です。串打ち、裂き、焼きのどれか一つが雑になると、仕上がりにも影響します。
そのため、職人は一つひとつの工程を大切にし、経験を重ねながら技術を磨いていきます。
一つひとつの工程が味につながる
うなぎ料理は、素材の良さだけで完成するものではありません。
どの位置に串を打つか。どの角度で包丁を入れるか。どのタイミングで火から外すか。そうした細かな判断の積み重ねが、焼き上がりの香ばしさや食感につながります。
時代が変わっても、うなぎをおいしく仕上げるために、職人の目と手が必要であることに変わりはありません。
うなぎ職人の技が味を支えている
普段うなぎを食べるとき、串打ちや裂きの工程まで意識することは少ないかもしれません。多くの人が感じるのは、口に入れたときの香ばしさや、身のやわらかさ、たれとの一体感です。
しかし、その一口の裏側には、うなぎの状態を見極める職人の技があります。
見えない部分の手仕事が整っているからこそ、うなぎはおいしく仕上がります。「串打ち三年、裂き八年、焼き一生」という言葉は、うなぎのおいしさが、そうした積み重ねに支えられていることを教えてくれる言葉でもあります。
どうだい?うなぎがうまいのは、職人の手間と技があってこそなんでい!
まとめ:「串打ち三年、裂き八年、焼き一生」に込められた職人の心
「串打ち三年、裂き八年、焼き一生」とは、うなぎ職人の技術の奥深さを表す格言です。
串打ちは焼き上がりの形や火の通りを整える大切な仕込みであり、裂きには包丁の正確さと魚を見極める経験が求められます。そして焼きは、一匹ごとの状態や火の入り方を読みながら仕上げる、終わりのない技術です。
この言葉は、単に長い修行年数を示しているのではありません。うなぎという繊細な食材に向き合い、日々技術を磨き続ける職人の姿勢を表しています。
普段何気なく味わっているうなぎにも、串打ち、裂き、焼きという一つひとつの手仕事が込められています。その背景を知ることで、うなぎのおいしさをより深く感じられるはずです。
山美世のうなぎ
届くのは、老舗の仕事。




















この記事へのコメントはありません。