大切なあの人へ。うなぎをギフトする。

江戸時代の薬学書『本朝食鑑』に見る、昔の人が信じた「うなぎの力」

鰻重と本朝食鑑

うなぎは、いつ頃から滋養のある食べ物として親しまれてきたのでしょうか。江戸時代の食物本草書『本朝食鑑』には、うなぎの性質や、当時考えられていた身体への働きが記されています。この記事では、昔の人がうなぎに感じていた「力」をたどりながら、現代の栄養学から分かる特徴と、山美世が受け継ぐ地焼きの魅力を紹介します。

鰻師 卓

鰻を食べて精をつけるってぇ話は、今に始まったことじゃねぇ。江戸の書物をひもといてみようじゃねぇか!

『本朝食鑑』に記されたうなぎ

本朝食鑑

『本朝食鑑』とは、江戸時代の元禄10年(1697年)に刊行された食物本草書です。魚介類や野菜、穀物など、日本で食べられていた食材について、味や性質、食べ方、当時考えられていた身体への働きがまとめられています。

うなぎについても詳しい記述があり、当時の食文化や養生の考え方を知る手がかりになっています。

昔の人が信じた「うなぎの力」

『本朝食鑑』は、元禄10年(1697年)に刊行された食物本草書です。食材の味や性質だけでなく、身体にどのような働きをもたらすと考えられていたのかも記されています。

うなぎの項では、身体の衰えを補う食べ物としての評価が見られます。現代のように栄養成分を分析できない時代にも、人々は食べたあとの感覚や長年の経験から、うなぎを滋養のある食べ物として捉えていたのでしょう。

「薬」と「食べ物」が近かった時代

江戸時代には、毎日の食事によって身体を整える「養生」の考え方が広く根づいていました。

当時の「薬用」という言葉は、現在の医薬品と同じ意味ではありません。うなぎを食べれば病気が治るということではなく、身体が弱ったときに取り入れたい滋養食のひとつとして重宝されていたと考えるのが自然です。

なお、うなぎと滋養を結びつける歴史は江戸時代よりも古く、『万葉集』にも夏痩せした人へうなぎを勧める歌が残されています。

現代の栄養学から見たうなぎ

昔の人々が経験的に感じていたうなぎの食べ応えは、現代の食品成分表からも読み取れます。うなぎの蒲焼には、たんぱく質や脂質に加え、ビタミンA・D・B群などが含まれています。文部科学省の食品成分データベースでは、蒲焼100g当たり、たんぱく質23.0g、脂質21.0g、ビタミンAは1,500μgとされています。

滋養食として親しまれてきた理由

うなぎは少量でも食べ応えがあり、複数の栄養素をまとめて摂れる食品です。こうした特徴も、昔から「精のつく食べ物」として親しまれてきた背景のひとつと考えられます。

ビタミンAとビタミンB群

うなぎに多く含まれるビタミンAは、皮膚や粘膜の健康維持、暗い場所での視覚などに関わる栄養素です。

ビタミンB1やB2は、食事から摂った糖質や脂質を身体の中で利用する過程を支えます。ただし、「うなぎを食べれば疲労が回復する」とまで言い切ることはできません。栄養素の働きと食品そのものの効果は、分けて考える必要があります。

たんぱく質と魚由来の脂質

うなぎには、筋肉や皮膚など身体をつくる材料となるたんぱく質も含まれています。

脂質が比較的多いことも、淡泊な白身魚とは異なる濃厚な味わいや満足感につながっています。その脂には、魚介類に含まれるDHAやEPAも含まれます。

栄養豊富な食品ではありますが、食べるだけで健康上の悩みが解決するわけではありません。ご飯や副菜との組み合わせも含め、食事全体のバランスを考えて楽しむことが大切です。

国産・超特大280gうなぎを使用した山美世のうな重

山美世が受け継ぐ地焼き

山美世の外観

うなぎは、栄養だけで語り切れる食べ物ではありません。どのような水で整え、どのように火を入れるかによって、香りや食感は大きく変わります。島根県松江市・大根島の山美世では、蒸しを入れずに焼き上げる地焼きを受け継いでいます。

香ばしさを引き出す職人の火入れ

関東風の蒲焼は、白焼きにしたうなぎを一度蒸してから焼く方法が一般的です。一方、山美世では、生のうなぎを蒸さずに焼き上げます。

皮目の焼け具合や身の状態を見ながら火を入れることで、表面はパリッと香ばしく、身はふっくらとしながらも、うなぎらしい食感が残ります。

大根島の地下水で整える活鰻

地下水で泳ぐうなぎ

山美世では、仕入れた活鰻を大根島の地下水が流れる生け簀で管理しています。

焼く前の状態を丁寧に整え、職人が一尾ずつ裂き、串を打ち、火加減を見極める。その積み重ねが、地焼きならではの香ばしさと力強い味わいを生み出します。

『本朝食鑑』が記された江戸時代と現代では、うなぎを取り巻く環境も食べ方も変わりました。それでも、特別な日にうなぎを食べて英気を養う感覚は、今も私たちの暮らしに残っています。

鰻師 卓

昔の知恵に職人の火入れが加わりゃ、鰻の味もひときわ深くなるってもんよ!

まとめ|江戸時代から受け継がれる滋養食

『本朝食鑑』からは、江戸時代の人々がうなぎを身体の衰えを補う滋養食として捉えていたことがうかがえます。現代の食品成分表を見ても、うなぎにはたんぱく質や脂質、ビタミンA・D・B群などが含まれています。

昔の効能を現代医学の効果として受け取ることはできませんが、うなぎが長く大切にされてきた背景には、濃厚な味わいと豊かな栄養があったのでしょう。

山美世では、大根島の地下水で整えた活鰻を、蒸しを入れない地焼きで仕上げています。古くから続くうなぎと養生の歴史に思いを馳せながら、香ばしい一尾をゆっくりと味わってみてください。

山美世のうなぎ

届くのは、老舗の仕事。

うなぎ処 山美世 六代目店主 渡部 卓

島根県松江市にて大正時代から続く「山美世」の現当主。 代々続く秘伝のタレを守りつつ、脂を落とさず鰻本来の旨味を引き出す「地焼き(関西風)」の技術を研鑽。「鰻は生き物であり、一尾として同じ個体はない」という信念のもと、季節や個体差に合わせた火入れを徹底。

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