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うなぎはなぜヌルヌルする?ぬめりの正体と3つの役割

うなぎ

「うなぎって、どうしてあんなにヌルヌルしているの?」「あのぬめりは何のためにあるの?」と気になったことはありませんか。

うなぎのヌルヌルの正体は、体の表面を覆う「体表粘液」です。この粘液には、皮膚をこすれや傷から守ったり、細菌などに対する防御に関わったりする大切な働きがあります。

この記事では、うなぎのぬめりが何でできているのか、どんな役割があるのか、ほかの魚にもぬめりがあるのかまで、分かっていることをもとにわかりやすく紹介します。

鰻師 卓

「ただのヌルヌルだと思ったら大間違いでぇ。あれにも、ちゃんと役目があるんですよ。」

山美世のうなぎ

うなぎのヌルヌルの正体は「体表粘液」

うなぎを触ったときに感じるヌルヌルは、体の表面を覆っている粘液です。うなぎの表皮には粘液をつくる細胞があり、そこから分泌された粘液が体表を覆っています。

魚の皮膚は、人間の皮膚とは違い、常に水や水中の微生物などと接しています。そこで体表粘液が、皮膚と外の環境との間を覆う層として働いています。

粘りに関わる主要成分のひとつが「ムチン」

うなぎ

うなぎのぬめりについて調べると、「ヌルヌルの正体はムチン」と紹介されることがあります。

より正確にいうと、ムチンは体表粘液に粘りを持たせる主要な成分のひとつです。ムチンは高分子の糖タンパク質で、水分を含んで粘りのある状態をつくります。

体表粘液にはムチンだけでなく、さまざまなタンパク質や酵素なども含まれています。つまり、うなぎのぬめりそのものが一つの成分でできているわけではありません。

うなぎのぬめりが果たす3つの役割

うなぎ

うなぎの体を覆う粘液には、見た目からは分からない大切な働きがあります。大きく分けると、体表を物理的に守ること、病原体に対する防御に関わること、皮膚表面の環境を保つことです。

こすれや傷から体表を守る

うなぎは水底や物陰など、周囲のものと体が触れやすい場所を利用することがあります。

体表を覆う粘液は、皮膚と外のものが触れたときの摩擦をやわらげ、体表が傷つくのを防ぐ働きに関わっています。

手で触ると「滑る」という印象が強いうなぎのぬめりですが、その滑らかさは体表の保護にも役立っています。

細菌などから身を守る

体表粘液には、細菌などの病原体に対する防御に関わる成分も含まれています。

ニホンウナギでは、表皮にある酵素の一部に魚病細菌を壊す働きが確認されています。また、皮膚粘液からは抗菌作用を持つペプチドも見つかっています。

粘液がすべての細菌を退治するという意味ではありませんが、うなぎの体表を守る生体防御の一部を担っていることは、研究からも確認されています。

皮膚表面の環境を保つ

魚は水の中で暮らしているため、皮膚のすぐ外側には常に水があります。

魚類の体表粘液は、皮膚表面を覆い、水やイオンとのやり取りにも関わりながら、体表の状態を保つ役割を担っています。

私たちから見ると単なる「ぬめり」ですが、うなぎにとっては外の水環境と接する体表を支える大切な仕組みのひとつです。

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ぬめりは多くの魚にもある

うなぎのヌルヌルはとても印象に残りますが、体表粘液を持っているのはうなぎだけではありません。多くの魚の皮膚も粘液で覆われています。

魚によって粘液の量や性質、含まれる成分には違いがありますが、粘液で体表を覆って守る仕組みは魚類に広く見られます。

また、「うなぎはウロコがないから、代わりにぬめりで体を守っている」と説明されることがありますが、うなぎにも皮膚の中に小さな鱗があります。

うなぎのぬめりを、ウロコの有無だけで説明することはできません。

なぜうなぎはあれほどヌルヌルして感じる?

うなぎ

うなぎは「ヌルヌルした魚」の代表のように思われています。実際に活きたうなぎを扱うと、体表がとても滑りやすいことが分かります。

ただ、「ニホンウナギは一般的な魚より何倍も粘液が多い」と単純に示せる比較データがあるわけではありません。

「敵につかまりにくくするため」「細長い体で狭い場所を通るため」といった説明も見かけますが、これらをぬめりの主な理由として言い切るのは慎重であるべきです。

ウナギ類では、生活する環境の変化と粘液細胞の発達との関係を調べた研究があり、摩擦や体表の保護とのつながりも考えられています。ただし、「細長い体だからぬめりが発達した」というほど単純な仕組みとして分かっているわけではありません。

うなぎ屋にとって「ぬめり」は身近な存在

うなぎを捌く

私たちうなぎ屋にとって、活きたうなぎのぬめりは日常的に触れるものです。実際に扱えば、あの独特の滑りやすさを強く感じます。

一方で、「ぬめりが多いほど新鮮」「ぬめりが強いほど良いうなぎ」と単純に判断することはできません。体表粘液は、うなぎの体の状態や周囲の環境、ストレスなどによっても変化します。

普段は何気なく見ているヌルヌルも、うなぎ自身にとっては体を守る大切なものです。毎日うなぎに向き合う私たちにとっても、うなぎという魚の体の仕組みを感じられる身近な存在のひとつです。

鰻師 卓

「ツルッとしてるから鱗なんてねぇと思ったら大間違いよ。うなぎの体ってぇのは、見た目以上に奥が深いんでぇ!」

まとめ|うなぎのヌルヌルには生きるための意味がある

うなぎのヌルヌルの正体は、体の表面を覆う「体表粘液」です。その粘りにはムチンなどが関わり、体表をこすれや傷から守るほか、病原体に対する防御や皮膚表面の環境を保つ働きにも関係しています。

そして、体表粘液はうなぎだけが持つものではなく、多くの魚に備わっている仕組みです。

手で触れば「滑る」という印象が先にきますが、あのぬめりにも、うなぎが水の中で生きていくためのきちんとした役割があります。

山美世のうなぎ

届くのは、老舗の仕事。

うなぎ処 山美世 六代目店主 渡部 卓

島根県松江市にて大正時代から続く「山美世」の現当主。 代々続く秘伝のタレを守りつつ、脂を落とさず鰻本来の旨味を引き出す「地焼き(関西風)」の技術を研鑽。「鰻は生き物であり、一尾として同じ個体はない」という信念のもと、季節や個体差に合わせた火入れを徹底。

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